中華民国では二重国籍についてどう考えているか

蓮舫さんの件がきっかけで調べています……。

中華民国の国籍法を見てみました。

日本の国籍法のように、国籍を与えられる条件、帰化の条件などがありますが、
重国籍者の国籍選択の条項はありません。

ただ、二重国籍を認めていると言うよりは、中華民国に帰化する人については二重国籍を認めないが、
出生などによって得てしまって二重国籍になってしまっている人については、
公職に就くのに条件を付ける書き方になっています。

①外国人が中華民国に帰化した場合には、元の国籍を喪失した証明書を求める。但し本人に責がない理由で得られ
ない場合で外交機関を通じて調査し(喪失したことが)真実だとわかる場合はこの限りでない。
②無国籍者・外国人から帰化した者は、総統、立法委員、行政院委員長etcになれない。
③中華民国国民で外国国籍を取得した者は、公職についてはならず、任期中に取得となった場合には免職となる
(ただし国公立大学の職位などで許可を得た場合は例外)。

中華民国国籍の喪失について、蓮舫さんの言う17歳という年齢で考えてみると、
仮に現行の法律を当てはめた場合、未成年なので単独では喪失ができないようです。
中華民国国籍法では、未成年者の国籍の得喪は「親の国籍に従
う」という特徴があり、また、男子は兵役年齢が近くなると兵役をした後でないと喪失できないという台湾ならで
はの規定もあります。

日本の国籍法は、二重国籍になったら期限付きでどちらにするか日本国政府に対して宣言せよ、
ただ実際の外国籍離脱については努力を求める、にとどまります。
しかし、それで二重国籍は解消されたということに(日本法上は)片づけているのか、
それ以上の事は国籍法では触れていません。単純に国籍法だけで比べると、中華民国の方が重
国籍になってしまう現実を考えて作られているように思います。

ちなみに日本の国家公務員法も公職選挙法も、欠格事由には国籍条項はなく、
前科がない事とか民法上の能力の問題だけが載っています。
外務省は人から聞いた話レベルでも、省ホームページの非常勤の職員募集でも
「日本国籍を有し、かつ外国籍を有しないこと」と書いてあるのですが、
防衛省は日本国籍あればOKだったりして外国籍の有無については記載がなかったりします。

維新の党などが、二重国籍者の公職就任に制限を付ける法案を提出するなどと
報道がありました。
私自身は公職に就く人については、ある程度制限を「考えても」いいとは思っていますが、
重国籍で公職に就くことの危険性、理由を、立法する人がきちんと説明できる審議が
求められると思っています。

蓮舫さんの二重国籍問題

蓮舫氏の「二重国籍疑惑」が話題になっています。

二重国籍で、最後には「台湾側の国籍離脱をしたのか?」ばかりが
クローズアップされていると思います。

この問題が取りざたされた発端は、アゴラというサイトの元通産官僚の八幡さんの記事かと思います。
アゴラを見ると、この問題について八幡さんは何本も記事を書いています。

一方で、ネット記事の中には、真摯に日本の国籍法条文を読み込んで書かれたものもあります。
ラジオで奥平安弘さん、近藤敦さん(両者とも国籍法に詳しい「憲法学者」)が解説するのも聞きました。

Amazon.co.jpで国籍法についての本を探すと、専門的に書いている人は案外少ないことに気づかされます。
国籍法自体の条文はそれほど多くなく、数年前に、国際カップルで未婚のまま子どもが生まれた場合の日本国籍について最高裁で結果が出て改正された以外は、頻繁に改正されたことがないからかもしれません。

蓮舫氏については、ご本人が二重国籍かということと、
国会議員や大臣の役目を果たすのに問題がないのかという2段階の問題だと思います。
報道は最初から「二重国籍であってはだめ」という前提で進んでいるように感じます。

私が気になっていたのは、以下の2点でした。

①本人が日本の国籍法が求める国籍選択をした場合、外国の国籍を離脱する努力義務はあるといっても、
実際できない場合、日本はどう考えるのか。
  
②日本が認める政府は中華人民共和国なので蓮舫さんの二重国籍の整理の時には共和国側の法律を適用する
と法務省が言ったという報道。

→ラジオで学者は「努力義務は罰則がないので、蓮舫さんが台湾側の国籍を事実上まだ持っているとしても法違反はしていない」とか「国籍取得→国籍選択の場合はそもそも帰化申請したのとは違うので義務そのものがない」と述べていました。
 そうそう、以前重国籍関係の本を読んだ時に、「自ら帰化して」二重国籍になる事と、「出生で」二重国籍になることは
かなり区別されて論じられていた気がします。

①について、すっきりとした答えは今のところ私の中で出ていませんが、
世界を見た場合、国籍離脱というのが(日本のように)比較的容易にできる国ばかりではありません。
大統領の署名や国会手続きを必要とするところもあり、手続きは法律に書いてあっても
実際にはほぼ不可能という国もあると聞いていますので、
努力をしてできるところが限界なのだろうと思います。

②については『国籍・帰化に関する実務相談(渉外身分関係実務研究会)』をめくると
「日本が承認しているのは中華人民共和国政府なので、共和国の法の通りに」と書いてある所はあって、
法務省見解として今回一旦報道されたものと一致しているのですが、
この本でのケースは、「中国大陸で大戦の前に中国人男性と日本人女性が結婚、
ひとり目を出産した後、国家が中華民国→中華人民共和国と変わり、
ふたり目を出産……この場合二人の子どもの国籍はどこになる?」というもので、
家族のいる場所がずっと中国大陸であるということもあり、
そういう適用をしても余り無理のない結論になっているなあというものでした。

戦争に前後して日本列島に暮らし続けた中華民国の人たちは、日本国籍を与えられたり
はく奪されたり、どっちの中国の国籍を取るのか?と国籍を選ばされたりしていますから、
そこで中華民国を選んだ人に対して、「共和国の法を適用します」というのも
筋としておかしい話になります。

国際私法の本をめくると、「未承認国法」についてどう扱うか?のコーナーがあり、
中華民国や朝鮮民主主義人民共和国のような「分裂国家」が
絡むと思われる当事者がいる場合どう処理するかが書かれています。

国際私法は国を跨ぐ私法関係について、もっとも密接な関係を有する法律を適用するのが一般的で、
日本での判例もこれを支持しているとあります。
一時期報道された、法務省見解について、上述した元官僚の八幡さんが持つ違和感は正しいということになると思いますが、
ラジオで専門家として発言した奥平先生は、この報道された法務省の考え方は公式見解であると言っていたと思います。
外交問題が絡む所のようでもあり、これからも注意してみて行きたいところです。

外国人の家事使用人受け入れ拡大について

以下、ハフィントン・ポストの記事です。
ジャーナリストの竹信三恵子さんが書いている
外国人の家事使用人の受け入れ拡大に関する懸念です。

外国人家事支援人材制度を人身取引の温床にするな

この件については、国家戦略特区のニュースが去年流れ始めた頃から、周りの女性同業者(女性の立場+入管業務をやっているので外国人政策が気になる)と話題になっていました。

その仲間内では、自分が不在の時に子供をベビーシッターに預けている経験者と、海外生活をしていた時にメイドさんを使ったことがある人はいましたが、現在家事代行サービスを使っている人はいなそうでした。

利用するかも!?の立場としては、「外国人の家政婦を家に入れようと思えるか?」が焦点、
外国人のビザに関わる専門家の立場としては「家政婦をする外国人を雇うのは利用者自身なの?それとも会社が雇用して派遣するの?」というのが焦点となりました。この記事によると後者になるようですね。

この記事は、ご自身が新聞記者時代にシンガポール駐在で家政婦の雇用主になったこともあり、近年「家事ハラスメント」の著書も出している竹信さんの書かれたものです。家事労働に限らず、昔から「ザル法」と言われている労働法がさらに緩和の方向に進んでいたり、技能実習制度でさんざん批判を呼んでいる日本がこの政策を推し進めるというのは本当に危機感を感じます。